「人と誠実に向き合うこと」が大切だと気づいたとき、運命は変わった


株式会社梅村建材(ウメケンリフォーム)
代表取締役  梅村 拓馬



創業から現在に至るまでの変遷について教えてください。

梅村建材の創業は平成11年。当初は私の父が建材販売の個人事業としてスタートしました。平成23年に私が後を継いでからは、ウメケンリフォームの屋号でリフォーム業を始めています。

リフォーム業を始めたのは、父から継いだ建材卸業は長い目で見たときに残念ながら不要になっていく業種だと確信していたからです。建材業界の物流も他の業界と同じで中間流通がたくさんあるのですが、大手さんならまだしも我々のような小規模な問屋は年々需要が薄れていっています。そこで、自分には何がやれるかを考え、リフォーム業に辿りつきました。

リフォームについて特に知識を持っていたわけではなく、ゼロからのスタートに近いものでしたが、建材卸業を母体としていたおかげで材料は安く仕入れることができましたし、自分自身の営業力を生かして四苦八苦しながらも何とかやってきました。

リフォーム業を始め新たな需要を生み出したおかげで、もともとの建材卸業も活気づき、息を吹き返すことにもつながりました。また、現在は縁あってANDPADという施工管理に特化した施工管理アプリの販売代理店業も行なっています。建材卸業・リフォーム・ANDPADが、我が社の業務の主力三本柱です。




家業を継ぐことは子どもの頃から意識していましたか?

家業を継ぐ気持ちはこれっぽっちもありませんでした。ただ、建材屋の息子として育ちましたので、住宅の建築現場には中学生の頃からよく遊びに行っていましたし、嫌いではありませんでした。というよりも、そもそも「家」が好きだったのです。

テレビの「おうち探訪」みたいな番組も小さいときから好きで、不動産屋さんの折り込みチラシの間取り図を見たりするのも好きでした。「おっ、この間取りよりも、こっちの方がいいな」なんて、変な子どもだったかもしれません(笑)。

大学に進学する際、建築か土木で迷ったのですが、迷った末に土木を専攻することにしました。土木を専攻しても建築士の受験資格は得られますので、後で建築をやりたいと思ったら建築に戻ってくればいい。その前に一度、より幅広く学んでみたいと考えたのです。

私の行動パターンとして多いのは、新しいことを始めるときは3つ、4つ一遍に走らせて守備範囲を広げておいてから1つをキュッと選んで、残りは捨てるという方式です。だから、うちの社員たちは大変だと思います。社長がすぐに新しいことを始めるし、すぐにやめてしまいますから(笑)。でも、それくらいでないと目まぐるしい現代において常に前進していくことは難しいのではないでしょうか?


大学卒業後はどのような進路を選ばれたのでしょうか?

就職では結局、土木の道へは進みませんでした。就職活動をするときに自己分析をして、ある程度自分の志向が見えてきつつあった中で、決定的なことがありました。大学の学園祭です。大学ではテコンドー部の部長を務めていたので、学園祭ではステージで部員たちが披露する演舞などのマネジメントをしなければいけないわけです。

私が思うに、そこで何百人の観客からの歓声を浴びるのが嬉しい人は土木の仕事が向いているタイプ。私は大勢の人からの拍手喝采よりも、身近な人から「部長、お疲れさまでした」「梅ちゃん、ありがとうね」と言われる方が嬉しいタイプなんです。であるならば、地図に残るような大きな橋やトンネルをつくったりするよりも、感謝してくれるお客様の顔が直に見える住宅の分野の方が自分には向いていると思ったのです。

人見知りな性格だったため人と接する仕事より設計の仕事に携わりたいと考え、就職先はハウスメーカーに決めました。ただ、当初は設計部門で内定を頂いていたのですが、思うところがあって、人事部に電話して営業に変えてもらうようお願いし、営業職として社会人のスタートを切りました。



なぜ設計ではなく営業部門で働きたいと思われたのでしょうか?

このことは、実は私の人生の中での初めてのターニングポイントでした。学生時代は深夜のコンビニでアルバイトをしていたのですが、バイトの同僚が自殺するという大きな事件があったのです。

同僚といっても同じ学生仲間ではなく40歳過ぎの方で、正直、仕事がバリバリできるという方ではありませんでした。二人で勤務に入って長時間一緒にいてもほとんど話すこともないような間柄だったのですが、ある日、無断欠勤が続いたと思ったら山中で遺体が発見されたというニュースが飛び込んできたのです。

週に何日か顔を合わせていた人が亡くなるということは、まだ学生だった私には本当にショックな出来事で、「もっと話をしていたら、もっと誠実に彼に向き合えていたらこうはならなかったんじゃないか」、「自分にもできることはあったんじゃないか」と自問自答を繰り返しました。

今までの自分を振り返って、「内向的な性格で友達をあまりつくらず自己完結的に生きてきて、今また技術屋として設計部門に就職しようとしている、これでいいのだろうか」と思い悩み、設計という技術畑ではなく敢えて人と触れ合う営業の仕事に飛び込んでみるべきだと結論を出したわけです。

就職してからしばらくは、自分で決めて方向転換したとはいえ慣れない営業の仕事に文字どおり悪戦苦闘の日々。「胃が痛くて会社に行きたくないとはこういうことなのか」と実感しましたね(笑)。



家業を継がれるまでの経緯を教えてください。

ハウスメーカーに勤めているときに発生したリーマン・ショックが転機になりました。大手の工務店ですら揺らいだ大事態に、梅村建材が大丈夫でないことは素人が考えてもわかります。ましてや自分もハウスメーカーで働いているわけですから心配せざるを得ません。後から知ったことですが、実際、その頃の売り上げは40%以上落ちていたようです。

私の中では父を見捨てるか、自分が犠牲になって家業を継ぐかの二択で、1年ぐらいずっと考え続けていました。どちらを選んでも厳しい道です。「継ぐ=自分が犠牲になる」というようなとらえ方しかできていませんでした。

考え抜いた結果、「待てよ、そんなネガティブに考えることもないじゃないか」と思い直しました。犠牲になるのではなく、自分が継いで会社を立て直すことができれば皆ハッピーじゃないかと。そう思い立ったら、すぐに「家業を継ぐことになったので辞めます」と会社に告げていました。

3年間勤めたハウスメーカーを退職し、家業に戻ったのが25歳のとき。その一年半後に、傾いていた業績を立て直すため、父に「会社を俺に任せてほしい」と切り出し、代表に就任することになりました。



代表に就任してから新しく取り組まれたことを教えてください。

建材販売だけでは将来的に厳しくなると思っていたため、継いですぐリフォーム業を開始しました。全く経験のないジャンルでしたが、ハウスメーカーで営業をしていた経験から一般のお客様とお話しすることは得意でしたし、工務店さんや大工さんなどとの繋がりもあるので「何とかなる」との思いで挑戦したのです。最初は見様見真似でしたが、周りの方々に支えていただいたおかげで何とかリフォーム事業を軌道に乗せることができました。

また、リフォーム以外にも、ANDPADという住宅工務店やリフォーム会社施工管理に特化した施工管理アプリの販売代理店業も始めました。開発したのは株式会社オクトという会社で、ウメケンリフォームは全国唯一の販売店という位置付けになっています。

建築やリフォームの現場というのは本当にアナログな世界なのですが、ANDPADはパソコンやスマホなどが苦手な職人さんたちにも簡単に使える画期的なアプリです。初めてこのアプリを知ったとき、私は「建築業界に革命が起きた!」と確信しました。

一ユーザーとしてANDPADを使い始めてしばらくした後に、その開発会社の社長さんとお話しさせていただく機会があり、使ってみた感想や提案などを積極的にお伝えしたりしているうちに、ANDPADの国内唯一の代理店として販売協力を行うようになりました。

現在、そういったアプリの中ではANDPADはシェアナンバー1で、ユーザーは1300社を数えます。恐らくここ数年以内には桁が1つ上がると予測しています。ANDPAD創成期からのユーザーとして、常に誠実なフィードバックを提供してきたことも貢献しているかと思うと嬉しいです。



今後の目標・展望を教えてください。

リフォーム業で大切なことは、お客様との対話の中から、お客様ごとに異なるライフスタイルや価値観、住宅への夢や願いを的確につかみ取ることだと考えています。そして適正価格でご提供してお客様にご満足いただくことで、お客様に愛され続け、地域に貢献できる企業となっていくのだと思います。

これからはリフォームにとどまらず、家の新築などにも取り組んでいきたいと走り始めたばかりです。将来的には、一つの街を丸ごとつくっていくような大きな事業にもかかわっていきたいですね。「世界一幸せな街をつくる」ことが会社としてのビジョンであり、私個人の人生の目標でもあるんです。

以前から異業種交流会などには積極的に参加していましたが、私が中心メンバーの1人となって「暁の会」という一般社団法人も立ち上げ、若い経営者たちが集まり、学び合いを深めています。自分たちの仕事を通じて、10年後、20年後の世の中をよくすることに貢献したいという「志」を持った者たちの集まりです。

苦しいときに今まで助けてくださった方々に「あのとき支援してよかったな、いい会社に成長してよかったな」と思っていただけるように、恩返しをするには社会に役立つ会社にしていくしかないので、これからも頑張っていきたいと思っています。





<インタビュー情報>

株式会社梅村建材(ウメケンリフォーム)
代表取締役  梅村 拓馬
会社ホームページ http://www.umemura-k.co.jp/

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