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デザインを楽しくすることでお客様の楽しい買い物に貢献する

株式会社メディアプラス
執行役員社長 新倉 欣也


創業から現在に至るまでの変遷について教えてください

メディアプラスはセールスプロモーションのデザインを手がけている会社で、創業者の松井正信が昭和53年(1978年)に松井正信事務所というデザイン会社を立ち上げたのが始まりです。

麹町で創業してから、渋谷、一番町、現在の平河町と会社のステージに合わせて事務所を移転させてきました。昭和のバブル期はまだ紙のデザインが主流の時代だったため手作業でデザインワークをしてきましたが、一番町に事務所を移転した頃からデジタル的な手法を導入しています。

セールスプロモーションとは、いわゆる販売促進の広告のデザインを行う仕事です。メディアプラスでは商品が店頭で販売される際のプロモーションデザインをメインとしています。スーパーやコンビニ、デパート、ドラッグストアなど小売店のほぼ全部のチャネルが対象です。

ここ2~3年ではアニメなどのキャラクターとのコラボ的な仕事に力を入れています。世界に向けて発信できる日本の文化の最たるものの一つがアニメというコンテンツだと思っていて、2020年に開催される東京オリンピックに向けてアニメ業界はますます活性化しています。機運が高まっている時代の波に合わせてプロモーションにアニメを積極的に取り入れているんです。



 メディアプラスの強みは何ですか?

事業としてアニメ・キャラクター関連の仕事に注力していることもあり、アニメコンテンツに強いデザイナーを揃えています。採用の際も、アニメが大好きな人材やアキバ系に強い人材を積極的に採るようにしているんです。

セールスプロモーションでは、制作物に対する感情的な思い入れや気持ちがないと広告を制作してもなかなか上手く見せることができません。本当に好きだからこそ「売りたい」という気持ちを込めることができ、効果的なプロモーションをご提案させていただくことができるんです。「アニメを語らせたら長いよ」というくらいでなければクライアントさんにアピールできないんですね。

アニメコンテンツに強い人材が集まっていることで、最近流行っているアニメのトレンドなども自然と情報が集まってくるため、どんなアニメでも対応できるのがメディアプラスの強みの一つだと思っています。

また、メディアプラスでは営業担当という役職を設けず、デザイナーがクライアントさんとの打ち合わせなども全て対応させていただいている点も強みです。デザイナーとクライアントさんの間に営業担当がいることで、伝言ゲームではないのですが、途中で要望や指示が曲がって伝わってしまうことがあります。そのため、デザイナーが直接対応させていただいた方がレスポンスも良く、誤解による不満足も生じづらくなるんです。

一番大切にしているのは楽しんで仕事をすること。我々の仕事は販売促進として消費者の購買意欲を高めることを目的としています。消費者側に立つと買い物を楽しんでもらうことが必要であるため、まずセールスプロモーションをデザインする我々が楽しんで仕事をすることが何よりも大切だと考えているんです。



新倉社長がメディアプラスに入社された経緯を教えてください。

子どもの頃から絵を描くのが好きで特に漫画が大好きだったため、将来的に絵を描く仕事がしたいと思いデザインの専門学校に通っていました。専門学校の在学中にインターンとして企業実習に来たことがメディアプラスの前身となる松井正信事務所との出会いでした。

はじめはアルバイトとして働いていたのですが、仕事をしている時に当時社長だった創業者の松井に後ろからバッと肩を掴まれて「ウチに来るか?」と声をかけてもらい、そのまま入社することを決めました。松井はすごくカリスマ性のある方で、セールスプロモーションという分野を活性化させてきた第一人者のような存在だったため、この人と一緒に働きたいと思ったことが入社を決めた一番の理由です。

入社してからは、松井に公私ともに面倒を見てもらいながらデザイナーとしてデザイン一筋でやってきました。入社して間もない20歳くらいの頃からクライアントの仕事を任せてもらえたため、本当に楽しんで仕事をすることができました。まだ若かったため最初の頃は得意先から怒られたことも多々ありましたが、早い段階から責任のある仕事を任されたことで成長することができたと思っています。

仕事の中でどのようなことで苦労されましたか?

29歳の頃から執行役員の役職を頂いて働いてきたのですが、部下を持ちながらもデザイナーとしての業務も担当していたため、思ったように人を動かすことができなかったことが大きなストレスになっていました。

当時、業務の効率化を図るためMacを導入して、手作業とコンピューター半々くらいのハイブリッド体制でやっていたのですが、それでも追いつかずに徹夜作業になることが多々あったんです。大きな仕事が入った時は四日間一睡もしないで仕事をしていたこともありました。

下に3~4人付けてやっていたものの部下に上手く仕事を振り分けることができず、自分一人で仕事を抱えてしまっているような状況でした。松井からは色んな仕事を任されていた反面、自分は人に仕事を任せることができていなかったことに苛立っていたように思います。

そんな働き方をしていたことで、ある時、体中にひどい蕁麻疹が出てしまったんです。医者からはストレスを言葉として発散することができていないことで、意思とは関係なく身体がSOSを出しているんだと言われました。

それから考え方を変えて、ある程度は人に任せることを徹底したことで徐々に状況を改善していきました。今では、チーフに現場のことは任せて皆を上手く使ってやりくりしてもらっているため、昔の私のような何日も徹夜をするようなことはなくなっています。



社長に就任してからどのようなことに取り組まれてきましたか?

平成11年に現在の社名であるメディアプラスになり、その後は現在会長を務められている創業者のご子息が二代目社長に就任していました。平成26年に事業ごとに独自採算制とするカンパニー制を導入したことで第1カンパニーと第2カンパニーの二つに分かれることとなり、そのタイミングで私が第2カンパニーの執行役員社長を拝命することとなりました。

裁量的には執行役員だった時から大きく変わったわけではないのですが、単なる執行役員と社長とでは経営に携わるという意味で考え方は変わったように思います。ただ、社長として収支を気にしなければならない一方で、一番取り組んできたことは働き方改革ですね。

デザイン業界では徹夜して仕事をこなすことが当たり前のような風潮があったため、楽しく働いていける環境を作らなければいけないと思ったんです。

お金を稼ぐことをメインに考えるとどうしても寝ずに働く形になってしまいます。やろうと思えばいくらでも仕事は取ってこれますし、気力だけで売上を上げることもできますが、それでは楽しく働いて長く続けていくことはできません。楽しんで働くという仕事の原点は創業者の松井から教わったことです。

また、デザイナー同士が一人ひとり黙々と作業をするのではなく、コミュニケーションを取りながら制作に取り組んだほうが良いモノができあがると思っているので、事務所内のパーテションを取り払いました。デザインの仕事は個別作業で役割が違うので、コミュニケーションを取っていかないと閉塞感や疲弊感が生まれてしまうんです。

現在では、組織としてスケジュールをコントロールして過重労働を緩和し、コミュニケーションを意識した職場づくりを推進することで、スタッフが笑顔で働ける環境になってきたと思います。長く続けられることがやっぱり一番大切ですからね。



今後の展望を教えてください

セールスプロモーションという仕事はものすごく幅広い分野で、業界全体として市場規模は上がってきています。ただ並べているだけではモノが売れない時代になってきているため、いかに消費者に商品の魅力を伝えるかというセールスプロモーションの重要性が高まってきているんです。

情報化が進む中でインターネットを活用したWeb販促も活発化してきていますし、今後はWebと店頭でのプロモーションが一体となった販売促進が主流になってくると考えています。どんどん複合的なプロモーションの仕方が出てくる中で全てに対応しようとは思っていませんが、メディアプラスの強みを活かして柔軟に対応していきたいですね。

将来的な目標として売上など数字目標は管理的な立ち位置のリーダーやチーフ以外には敢えて掲げないようにしています。売上の目標額を社員に伝えたところで良い影響を生むことは難しいと感じているため、お金の面ではなくそれ以外の道で導いていきたいと思っているからです。

やはり一番の目的はメディアプラスという会社を継続させていくこと。継続させていくためには仕事を楽しむことが何よりも大切です。トップスピードで会社を成長させていくのではなく、楽しみながら継続するデザイナー集団として先々代・二代目から任されたメディアプラスを次に繋げていきたいと思っています。
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<インタビュー情報>
株式会社メディアプラス
執行役員社長 新倉 欣也
会社ホームページ http://www.m-plus.co.jp/

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