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胡蝶蘭で想いを届けるコンシェルジュを目指す!


カシマ洋ラン園
運営責任者 衣鳩 裕介



創業から現在に至るまでの変遷を教えてください。

カシマ洋ラン園は、私の父が創業した茨城県神栖市に農場を構える胡蝶蘭専門の農園です。父が茨城県の園芸農家でノウハウを学び、独立して1974年に創業。創業当初から胡蝶蘭の生産・販売を手掛けてきました。

胡蝶蘭の販売方法としては市場への卸売りと鉢物の小売りの二つが主軸です。胡蝶蘭は熱帯のお花ですから温度管理がかなり大変で、毎日想いを込めて育てています。最盛期には国道沿いに3万株は置けるくらい大きなお店を出店していたこともあって、祖父や祖母も含めて家族総出で手伝っていた記憶があります。

ただ、ずっと巡分満帆だったわけではありません。私が大学生だった頃に経営状況が厳しくなり、ビニールハウスを取り壊して一部の土地を売却したこともありました。地元で競合する会社はほとんどなかったのですが、原油価格の高騰を受けて生産コストが上がったにも関わらず販路を拡大することができなかったことが一番の要因です。

私が販売責任者を任されるようになってからは積極的に営業に取り組み、徐々に販路を拡大していきました。その甲斐もあって数多くのお客様から問い合わせをいただけるようになり、現在では胡蝶蘭を活用した新しいサービスについても取り組みを始めています。



御社の強み・特徴を教えてください。

強みは生産元であることです。胡蝶蘭の生産者として、やはりクオリティと価格には自信があります。また、決まったパッケージ商品を作るのではなく、色味もピンクや白をミックスさせるなどアレンジを加えた商品を提供できることが当社の付加価値になっています。

カシマ洋ラン園では贈り手の想いを大切にしています。なぜ贈るのか、何を伝えたくて贈るのか。この想いを胡蝶蘭に表現していきたいと思っているんです。モノを売るのではなく、想いを届けるサービスだと考えています。

私たちは販売にWebを利用せず、購入には直接お問い合わせをいただいており、どこへ誰に何のために送るのかをヒアリングした上で胡蝶蘭をご提供させていただいています。その分、直接お客様から感謝の声を聞けますので、やりがいのある仕事だと実感しますね。



幼少期から家業を継ぐことは意識されていましたか?

お花に囲まれた環境で両親の仕事を身近に感じながら育ってきたため、小さい頃はお花屋さんになるのが夢でした。ただ、成長と共にだんだん恥ずかしいと思うようになってしまい、いつしかお花屋さんになりたいという気持ちは薄れていきました。

家業を継ぐつもりはなかったものの、経営者として働いている親の背中を見てきたので、自分で独立したいという思いは持っており、高校を卒業するときに「社長になる」と言って東京の大学に進学。大学でも周囲の友達には社長になることを公言していましたね。

結果として周りに社長になると宣言していたことで出会えた仲間も多く、そういった仲間たちと一緒にいるのが楽しくなってしまって、一年生の頃からあまり大学には行かなくなりました(笑)。



どのようなキッカケで経営者の道に進まれたのでしょうか?

ちょうどその頃、実家の経営状況が厳しくなってきたことで、大学を休学することを選択。休学してアルバイトで生計を立てていた20歳の頃、人生の師とも呼べる経営者と出会います。今でもお付き合いをさせていただいている株式会社ワンズベストの根本社長です。

根本社長には週3~4回は飲みに連れていっていただき、仕事に対する考え方など様々なことを教えていただきました。まだ右も左も分からない状態の私にとって全てが新しい経験でしたね。ワンズベストが取り扱っていた通信商材などを個人代理店のような形で販売するようになり、ブース販売をメインにフルコミッションの営業を経験しました。

その後、23歳の時に出会った仲間2人と共同でイベント制作会社アイツーケーを立ち上げます。当初は取締役からスタートして、設立から3年後、26歳のときに私が代表に就くことになりました。2018年5月には、もう一つ新会社レオン株式会社を立ち上げて経営コンサルティング事業も手掛けるようになり、現在も私がその二社の代表を務めています。



家業であるカシマ洋ランの仕事に携わるようになった経緯を教えてください。

大学生の頃、経営難により手放したカシマ洋ラン園の土地がマンションに変わってしまうのを目の当たりにしたときは、自分の大切なものが壊されるような感覚で、寂しさと悔しさが込み上げてきました。

その時に感じた「いつかこの土地を取り戻してやろう」という想いが、現在のバイタリティにつながっています。しかし、何とかしたいという想いはありながらも、社会に踏み出してから1~2年間は何もできない状況が続きました。

イベント制作会社を立ち上げた23歳の頃、これだけ多くの人と出会っているんだから胡蝶蘭の販売を手伝えるのではないかと考えるようになったんです。イベント制作の仕事の傍らで、人と会うときには家業で胡蝶蘭を販売していることをアピールするようになり、カシマ洋ラン園の販売責任者として販路開拓を始めました。

最初の頃はイベント制作の会社もまだ安定していなかったため、なかなか本腰を入れることができなかったのですが、それでも積極的に営業活動をしているお花屋さんが少ないこともあって、蒔いた種が実り、お客様から少しずつお問い合わせを頂けるように。営業活動を始めて3~4年後には年間150件ものお問い合わせを頂けるまでになりました。

別会社の経営も並行して行なっているため、まだ完全に腰を据えて取り組めていないのが正直なところなのですが、両親の年齢的に今後の事業継続を考えると、さらに胡蝶蘭の販売促進活動をブーストしていかなければならないと思っています。



胡蝶蘭のビジネスに関してどのような課題を感じられていますか?

情報化が進む現代社会においては、安いものに早く簡単に手が届くようになり、お花の写真での見せ方も進化しているので、単に冠婚葬祭やお祝いのときに胡蝶蘭を販売するマーケットには限界があると感じています。

生産ロットが大きく、広告予算も膨大で、価格競争力もある巨大な資本の会社には到底敵いません。まず生産量ではとても太刀打ちできませんから、パッケージ化しないオリジナル商品で差別化を図る必要があります。しかし、パッケージ化しないということは、逆にいうと数をこなせないということでもあるんです。

この状況を打開するためには、従来のマーケットの中で販路を拡大していくだけでなく、新しいサービスや市場を創り出していかなければなりません。カシマ洋ラン園では、これまでのビジネスモデルにとらわれることなく「想いを届けるコンシェルジュ」をコンセプトとした胡蝶蘭の新しいサービスを展開していきたいと考えています。


新サービスの具体的なお話を聞かせてください。

社員数をある程度抱えている大きい企業の経営者の方々をターゲットとして考えています。大きな企業であれば毎年、新入社員を採用しますよね。採用する会社側としては、新入社員を親御さんやご家族の方々からお預かりするスタンスだと思うのです。

そこに目を向けて、新入社員が入社するタイミングで、新入社員自身にヒアリングした想いを届けたい先、たとえば育ててくれた親御さんなどに対して、会社の経営者から「あなたの大切なご子息は当社で大切にお預かりします。ありがとうございます。」という感謝の気持ちを込めた胡蝶蘭を贈るサービスを始めたいと思っているんです。

新卒くらいの年齢だと気恥ずかしくて、面と向かってご家族に感謝の気持ちを伝えられないケースもあると思います。このサービスでは経営者からご家族に向けて感謝の気持ちが届くだけでなく、送り先を選んだ新入社員の方々の想い届くのではないかと思っています。

経営者から家族に最高級化である胡蝶蘭が届くのは、なかなか非日常だと思いますしインパクトは十分です。そのインパクトでご家族に子どもさんが入社した会社に対する認知度を高めていただき、結果として離職率の低下につなげることを目的としています。



今後の展望を教えてください。

この新サービスを、まずは2019年4月の新入社員に向けて提供できるよう準備を進めています。数社でテストマーケティングを行なってフィードバックを頂く必要もあるため、急ピッチで進めているところです。

キーコンセプトとして「想いを届けるコンシェルジュ」を掲げているのは、画一的なサービスを提供するのではなく、企業経営者の方々がどんな想いを伝えたいかをヒアリングして適切なサービスをご提案するコンシェルジュとしての役割を担いたいと思っているからです。

企業ごとに、新入社員に対してだけでなく、従業員が結婚したときや子どもが生まれたときなど、想いを届けたいシチュエーションは無数にあると思います。そういったときに、その会社専属のコンシェルジュが「誰に対して何を伝えたいか」を引き出して、想いを届ける支援をさせていただくサービスなのです。

従来のビジネスモデルとは全く異なる仕組みであるため、業界大手の生花流通会社さんでは、このコンシェルジュサービスを簡単には真似できないはずです。いち早く「コンシェルジュ」としてのポジションを確立し、「想いを届ける」プラットフォームを構築していきたいと思っています。

プラットフォームの構築ができれば、想いを届ける媒体となるモノは胡蝶蘭だけではなく他のお花でもいいかもしれません。また、人の想いがあるところであれば地域を問いませんので、国内だけではなく海外展開も視野に入れています。新しいビジネスモデルの可能性にワクワクしているところです。
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<インタビュー情報>

カシマ洋ラン園
運営責任者 衣鳩 裕介
会社ホームページ https://kashima-youran.com/

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