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西尾市で一番“幸せ作り”をする工務店に


株式会社イトー工務店
代表取締役 伊藤 明



創業から現在に至るまでの変遷について教えてください。

イトー工務店を創業したのは父なのですが、もともとは大手電気メーカーの営業マンで、東京で表彰を受けるくらいのやり手だったようです。転職を経てリフォーム会社の店長になってからも結果を出していましたが、「どうせなら自分でやりたい」ということで1977年にイトー工務店を創業したのです。

創業後の業績は悪くなかったのですが、バブルが崩壊したときと、有名ハウスメーカーが一気に住宅展示場を出し始めたときにはガツンと落ち込んだと聞いています。父がローコスト住宅を学んだことでV字回復できたのですが、私が入社した頃にはたくさんの会社がローコスト住宅を始めていて再び業績が悪化していました。今それを挽回して軌道に乗ったところです。

事業規模は年々大きくなっていますが、従業員数は私が子供の頃で父を含めて5人。現在は7人なのでそれほど変わっていません。今もそうですが当時から地元密着です。

先代の父にはメンテナンスについてうるさいくらい教え込まれました。たとえば午前中に連絡をもらったらお昼までに絶対訪問しないといけないとか。何かあった時にスッと駆け寄って行ける、地元密着とはそういうことだって教育されました。



御社はどのような経営理念をお持ちですか?

イトー工務店には、3年ほど前に社員みんなで考えた「幸せ作り」という経営理念があります。「しあわせ」には一文字ずつ意味があって、「し」が“信頼”、「あ」が“ありがとう”、「わ」が“わくわく”、「せ」が家作りの“成功”です。

お客様にありがとうと言ってもらえるし、こちらもありがとうございますとお返しできる信頼関係や、自分たちがわくわくして仕事ができることの大切さ、そして、自己満足ではなくきちんと家作りを成功させるという意味を重ね合わせて「幸せ作り」という理念にしました。

この経営理念はイトー工務店がどのように家造りをしてきたかも大きく関係しています。世の中にはクレーマーのような人って少なからずいると思うのですが、うちのお客様にはまったくいないのです。それはなぜかと考えたとき、お客様の言いなりではなく、その先にある家造りの目的を形にする作業を継続してきたからではないかと感じるのです。

もちろん予算や安心・安全といった面からできないこともあるのですが、価値観の押し付けではなく、お客様の願望をしっかりと形にすることが我々の正しさなのです。それをずっとやってきたから、イトー工務店で家を建てたりリフォームしたりすれば間違いないと認知してもらえているのだと思います。こういった家造りの信念は経営理念と同じように大切です。



入社されるまでの経緯を教えてください。

兄が小学校の頃から学校の先生になると言い続けていたのもあって、父からは継いでほしいとは一切言われてないのですが、大学に進学する頃にはイトー工務店に入社するのかなと思う部分はありました。

でも仕事に関しては「これがやりたい」というのが本当になかったのです。父の会社に勤めなくても税理士事務所や会計事務所、公務員など引く手あまただというのを耳にして、じゃあ簿記でも覚えておくかくらいの感覚で経営学部を選びました。

3年生で進路の話になった時に、ゼミの先生から会社を継ぐつもりなら資格取得のための勉強ではなく不動産の勉強をしろと言われました。この辺りから父の会社に入る道筋が出来たように思います。

父からも「就職活動はしなくていい」と言われました。「大学で学んだことをウチの会社で使え」と。その時は「よし、会社を継ぐぞ」みたいな責任感はなくて、「就職活動をやらずに済んでラッキー」くらいの感覚でした。​​​​​​​


入社後にはどんなところに苦労されましたか?

入社後は、まず建築を覚えるために現場で大工さんにありとあらゆる質問をしろと父に言われました。ですが質問をすると「そんなことも知らんのか」となるのです。それで会社に戻ると「何でこんなに早く帰ってきたの?」と言われる。どこにも居場所がなくてしばらくは本気でいつ辞めてやろうかと思っていました。

でも入社して2~3年経った時、建前上棟の日にお客様から「明君ありがとね、やっとここまで来れたよ」とお礼を言ってもらえたのです。そのとき何とも言えない気持ち良さがあって、ようやく「この仕事っていいかもしれない」と感じられました。お客様にどうやって喜んでもらうかを考えるのがすごく楽しくなったのです。苦労が報われた思いがしました。

そんな折、会社に長く勤めててくれた人が病気になってしまって、営業マンがいない状態になりました。それで私が工務から営業になったのですが、家の売り方をまったく知らない。他の工務店でもローコスト住宅をやり始めていて会社の業績があまり良くない時期でもあり、この頃が一番苦しかったですね。

イベントで見学会を開催すると40組くらいお客様が来てくれるのですが、営業の仕方が分からないので成約はゼロです。でも父が顔が広かったためギリギリ年に4~5件の売上は成り立つといった状況でした。本気で営業に打ち込むようになったのは紹介もなくなったときからでした。そこから営業ノウハウを身につけるためにセミナーに参加したり、デザインや提案力などの勉強に打ち込んでいったのです。



事業を承継したタイミングを教えてください。

四苦八苦している間も父は私を営業から外しませんでした。私しかいなかったというのもあったかもしれません。結婚するときに、「結婚っていうのは人として一人前なることだから、専務取締役になって自分で営業の仕組みとかを作っていけ」と言われました。

専務になった時は、いつでも自分が業務を引き継げるようにすることを肝に銘じました。それから“売る”よりも“選んでもらう”方法を学んだのです。伊藤さんに任せるよって言ってもらえる仕組みを作りたいと考えてのことです。

7年くらい専務で頑張って、2015年に社長に就任しました。当時父は60歳。年齢的にこのタイミングだなと思ったのではないでしょうか。

すごいなと思うのは、社長を退いて会長になってからは私が作ってきた営業のプロセスや商品に一切文句を言わないことです。職人さんや業者さんの入れ替えもしましたが、「お前がこの人だ、この会社だと思った人と付き合えばいい」って言ってくれたのです。

先を見据えたマネジメントだったのかなって思います。私がこうしたいと言って、そこにちゃんとした理由があれば反対されたことは無い。それが今の礎になってるわけです。


社員だった頃と事業承継後とでマインドの変化はありましたか?

社長になってからは責任感がすごく芽生えました。それと外を知らなくて良かったと思うようにもなりました。他の会社でいろいろと知識を仕入れてしまうと、「うちの会社はこれがおかしい」とか「ここが問題」とか、他との比較だけに終始してしまったかもしれません。

でも私のスタンダードはイトー工務店だから、たとえば今後社員を養っていく上で「従業員満足のためにはこの働き方じゃダメだな」と考えたときに、自発的に社員からヒアリングをしたりして休日の取り方を改革できたのだと思います。

加えて、私は家族を持つことにネガティブな印象というか、1人の方がやりやすいくらいに思っていたのですが、それも変わりました。会社の業務について奥さんがいろいろと手伝ってくれて。私には全くない感性を持ってるのでとても助かりましたね。もちろん今もです。父については会社に来ても来なくても大丈夫な体制を作りたいと考えるようになりました。



経営者になってから力を入れて取り組んだことは何でしょうか?

家づくりはライフプランを提案させていただくことでもあると思います。ですからお客様にはまずヒアリングをさせてもらっています。家づくりの目的やビジョンから始まって、不安なことはないかとか、子どもさんを大学に進学させたいかどうかとか。最終的に間取りなどのご要望を伺うのと合わせると合計6時間くらいヒアリングします。

これくらいお話を伺うとお客様にもご自身の考えを整理してもらえます。そうすることで信頼関係が築けるのです。ときには「やっぱり今じゃないかも」みたいな話になったりしますが、お客様がそう判断したときにはこちらも無理に家づくりをおすすめしません。

今だけでなく将来を見据えた家づくりが我々の仕事です。ヒアリングをしてライフプランを具体的にすると、お客様の中で良い方向のパラダイムシフトが起こることが往々にしてあります。あらためて気付いていただく部分があったときには、やはりヒアリングって大事だなって思うのです。

社長になってからは、親身になって、お客様の話をとことん聞いて願望を実現させてあげることがイトー工務店の強みになるようにしてきました。

(右:総務部長 水谷 麻衣子さま)


今後の展望を教えてください。

「注文住宅を年間20棟建てて西尾市で一番選ばれる工務店になる」これが今の目標の一つです。西尾市に拠点があって注文住宅をやってる会社の年間の最多棟数は12棟で、イトー工務店は今2番です。拠点がない工務店では年間16棟。イトー工務店が年間20棟建てると、拠点があるなしに関係無く注文住宅で西尾市で一番選ばれる工務店になるのです。

その先に大手ハウスメーカーも含めて西尾市で建ててる注文住宅の数、年間60棟があります。それを達成したら名実ともに一番なのです。家という媒体を通して西尾市で一番幸せを提供できる会社になるわけですから、イトー工務店の経営理念「幸せ作り」にもぴったり合っています。

いずれは年間60棟という意気込みはありますが、段階を踏まないといけないので、まず20棟は絶対やるという目標を設定してます。

ただ「20棟やるぞ!」ではなくて、「西尾市で一番選ばれる工務店だからこそ20棟」という背景が重要なのです。根拠のない目標は頑張るエンジンにならないからです。3年前に売上3億達成という目標を立てて、みんなの力で到達できた後は燃え尽き症候群みたいになってしまいました。今のメンバーなら年間20棟は絶対に達成できると信じています。

愛知県西尾市で一番幸せに貢献する建築会社。それがイトー工務店なのってやっぱり誇らしいと思うのです。





<インタビュー情報>

株式会社イトー工務店
代表取締役 伊藤 明
会社ホームページ https://www.ito-home.com/

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