Original

WEBサイトやグラフィックだけでなく、"女性がもっと活躍できる未来"をデザインする


アイキャンディ株式会社
代表取締役 福森 加苗



はじめに、アイキャンディ株式会社について教えてください。

アイキャンディは、スタッフ全員が女性というWEB制作・広告デザイン会社です。WEBサイト制作、スマホサイトのレスポンシブデザイン、ランディングページ制作といったWEBデザインをはじめ、チラシ、DM、パンフレット、リーフレット、ポスター、看板、のぼり、横断幕といったグラフィックデザインまで幅広く対応させていただいています。

私たちの強みは、「スタッフ全員が女性であること」です。というのも、世の中の消費の50%は女性によるものであり、購買決定権の80%は女性が握っているとも言われているんですね。しかし、女性マーケットに取り組み、成果を出している企業は14%しかないという結果が出ています。なぜかというと、意思決定者である管理職や販促担当者には男性が多く、本当の意味で女性心理を踏まえたプロモーションができていないからです。私たちは、「女性視点」にフォーカスし、女性特有の思考・行動・心理、色の見え方、繊細な感性・感情などをクリエイティブに活かし、実績を出してきました。

昨今、女性活躍がさまざまなメディアで取り上げられるようになり、労働環境は国を中心に目まぐるしく改革され、女性の社会進出が本格化。それに伴い、女性の消費動向に大きな変化が起こっています。このような時代の流れにマッチしたサービスを提供できる点は、他社にはない特徴だと考えています。

また、この100%女性スタッフという環境で得てきたことを活かすために、女性視点を取り入れた女性集客と、働く女性がイキイキと輝ける女性活躍に関する講演活動を実施したり。男性管理職向けに『女性への接し方』、女性スタッフ向けに『接客ノウハウ』をテーマにしたセミナーやマナー研修の実施もしています。

このようにかなり女性向けの事業展開を行なっているのですが、元はこういう会社ではありませんでした。先代から会社を託されて「自由にやっていい」と言われたので、社名から変えてしまいました。「アイキャンディ」は「目におやつ」、つまり目に楽しいものをデザインしたいという気持ちが込められています。

八王子って、デザイン系の学校がたくさんあって、当然デザインを学んできた女性がたくさんいるんですよ。やっぱり自分が女性なので、女性が活躍できる環境を作りたいという気持ちが最初にありました。実は、女性ならではの視点という強みは、10年かけて女性ばかりの組織を作った後から気づいた特長なのですが、今では大きな競合優位性になっていると思います。



そんな女子力あふれる福森社長の、生い立ちについて教えてください。

私は5人兄弟の2番目、長女です。とても厳しく育てられました。というのも、実家は古いしきたりのある事業を営んでいたんですね。歩く時はお客様がこちらにいらっしゃるからこの足から歩くとか、立ち上がる時もお客様がこちらにいらっしゃるからこの足から立ちあがるとか。かなり厳しく躾けられたと思います。高校は女子高だったのですが、手紙の書き方、食事の仕方といった礼儀作法の試験もある学校だったので、女性らしい所作をさらに学ぶことができました。
ちょっと変わった子だったかもしれませんね。幼稚園の時、「将来なりたいもの」といったお題が出されたとき、答えられない子どもでした。というのも、かなり現実主義者だったんですね。花屋さんで売れ残った花はどうするんだろうとか。保母さんって子供に怪我させたらどんなことがあるんだろうとか。いろいろ考えてしまって、「これは安易に答えられないぞ」と思っているような子だったんですね。それで先生に叱られて、考えに考えて出した答えが「YKKみたいな会社を作りたい」でした。子どもなりにちゃんと理由があって。その当時、目にとまるファスナーには大体「YKK」のロゴが入っていたんです。これって、市場に大きなシェアを持っているということで希少性が高いと思い、こういう会社を作りたいと漠然に考えていました。

なので、実家がやっていたこともあり、「会社を経営する」という意識はどこかにあったのかもしれません。ただ、家業はいろいろと制限が多く、女性の跡継ぎというのは難しかったんですね。父からもはっきり「女には継がせられない」と言われました。

高校では器械体操に没頭して、3年連続でインターハイに出たんですよ。キャプテンを2年間やり、その体育会系精神は、弊社の朝礼を見ていただければわかりますが、大きな声出しから一日が始まります。
20歳で結婚して上京しました。しばらく専業主婦をしていたのですが、じっとしているのが苦手な私には、家庭にい続ける主婦は向いていなかったようです。住んでいたマンションの1Fにあった会社で清掃員募集の張り紙を見つけて。子供がまだ小さかったので、階段下りれば会社に魅力を感じ、面接に行ったその会社が、アイキャンディの前身である会社でした。


前身となる会社では、どのようなお仕事をされてきたのでしょうか?

清掃員としてスタートしました。仕事は毎日トイレ掃除です。20代半ばでしたね。初日意気揚々と会社に行ったのですが「どこから掃除すればいいでしょうか!?」と聞きましたら、「トイレだよ!」ってぞうきんを投げつけられました。ワクワク初日だったんですが、一気に「みじめだな…」と心が落ち込みました。そういう気持ちで仕事をしていたら叱られたんです、社長に。「お前、心を込めて仕事してないだろ?」と見透かされて。「仕事っていうのはこうやるんだ」と代わりにトイレ掃除のお手本を見せてくれる社長の姿を見て、みじめな仕事だと思ってしまった自分を恥じました。そして、「与えられたことを一生懸命にやればいいんだ」ということを学び、それからは毎日筋肉痛になるまで掃除に集中して。その姿勢が評価されて、正社員にしていただけました。

デザインの勉強をしていないのに、PCの前に座り、何もできない私は、社長に直談判しました。「誰か教育担当を付けてください」って。その人の時間を1時間だけもらって、教わりながら仕事をしました。でもやっぱり追い付かないので土日来て猛勉強です。必死でしたね。だって、デザインの分野に自己投資していないですから、人の2倍は時間を費やすと決めました。質がないから量からやらなければならないのはしょうがないですよね (笑)
そうこうしていると、経理の方が家庭の事情で辞めることになって、商業高校出身の私が引き継ぐことになりました。やっと自分の居場所を見つけたと思いました。数字を扱い出すと、数字のことが気になるじゃないですか。なので、自主的に営業もやり始めたんですね。八王子を回って、最初は自分でも仕事が取れそうな小売店から行きました。そのうち、街でよく顔を合わせる佐川急便のドライバーの人たちとも仲良くなって、いろいろ会社を紹介してもらって、人脈の大事さを感じた瞬間でした。そのうち総務みたいな仕事もやっていて、社内の「なんでも屋」になっていました(笑)。

気がついたら、10年働いていましたね。よく仕事のモチベーションが何なのか聞かれるのですが、私はいろいろ挑戦させてもらってお金までいただける、一石二鳥みたいなところが面白かったのです。楽しくてしょうがなかった記憶しかないです。



事業継承は、どのように行なわれたのでしょうか?

キッカケは、売上の9割以上を占めていたお客さんから「君が社長にならないと今後は付き合わないよ」と言われたことです。私も意味が分からなくて、社長にそのことを告げたら社長も驚いていましたね。しかし、思うところもあったようです。クリエイティブな仕事って新しい感性が大切ですから、組織として若返りが必要なタイミングでもあったんだと思います。

それで社長から「お前やれるか?」と言われて。私もよく分からなかったので、「分からないですけど、やれるんじゃないでしょうか」と答えて(笑)。その頃、私は部長職にいたのですが、お客様から多くの信頼を得ていたことを社長に評価していただき、急遽、事業継承することになりました。2007年のことです。自信も何もない。銀行の人と会っても何を話していいかわからない。本当にすべてが手探りでのスタートでした。



先代社長はどのような方でしたか?

「すごく稼ぐ人」という印象でしたね。人間は誰しも1日24時間1年365日という時間が与えられているのに、一体どういう時間の使いかたをしたらこんなに稼げるんだろう?と尊敬していました。

そして豪快な人ですね。私に全部任せてくれています。いろいろ相談するのですが、口癖が「自分で考えろ」ですから。「俺はもう時代が変わったから分からねえ」って言っています。前身の会社だったときは、男女半々のよくある広告制作会社だったんです。女性向けに舵を切ろうというのも、これまでやってこなかったWEBに力を入れようというのも、すべて許してくれました。その懐の深さには本当に感謝ですね。

女性が働きやすい環境づくりの一環として、出産祝い金を作ろうとしていたとき。金額をどうするか悩んでいたら、「1人目10万円、2人目30万円、3人目50万円」と!!!!ちょっと金額が大きいじゃないですか。私は1万~2万円くらいのつもりだったんですけど。と伝えると、先代が言うには、「女性の活躍を応援するって決めたんなら、応援に見合うだけ、喜ばれるだけの金額を出すんだ」って背中を押してくれて。敵わないなぁと思う思い切りの良さがある人ですね。




事業継承されて、最初に取り組まれたことは何ですか?

「一緒にお昼ご飯を食べること」でした。これはですね。私、ちょっと怖かったんです。なぜかというと、これまで部長として厳しいことを言わなきゃいけない立場だったので、社員とは距離を置いていたんですね。仲良くなって、情が移ると自分が辛いと思っていたんです。でもその頃、人材の流出が止まらなくて。その理由は、私自身が社員から信頼されていないことに気が付いたんです。だから苦手なことからはじめました。

やってみたら、いろいろ変わりましたね。相互理解が深まったというか、私が社員にこれまで以上に愛情を持てるようになったというか。これまではみんな、私に距離を感じていて言いたくても言えないことがいっぱいあったみたいなんです。でも最近はどんどん言ってくれるようになりました。講師の需要が多いので外出していることが多かったのですが、それに対して「社長が社内にいないとまとまらないので。しばらく外出禁止」なんて言われちゃったり(笑)。

でもこれは、私にとってもいい気づきだったんです。講師の仕事は、社長が率先して会社に売上貢献しているのだからいいだろうと思っていました。でも、よく考えてみたら、それは社長の本業じゃないんですよね。私は自分の仕事が面白かっただけで、本来やるべき社長の仕事から目を背けていただけかもしれません。それからは、一歩下がって、「主役は自分ではなく、社員みんな。自分はみんなが主役として活躍してもらうためサポート役」と考えるようになりました。

結果として、みんなの自主性が高まって、会社は本来あるべき方向に進めていると感じています。経営理念も、自社ホームページも、私の意見に社員が反対意見を出してきて(笑)。みんなで話し合って納得したものを作っている。みんなで会社を動かしていける。それはとても頼もしいことですよ。

​​​​​​​


最後に、これからの展開について考えられていることを教えてください。

「女性のポテンシャルを最大限にする」が当社の理念なのですが、それができていない現実があると感じています。みんな秘めた才能を持っているのですが、日本のビジネスには女性が前にでるということ自体、怖がってやらない、また諦める文化があります。そういう人たちを引っ張り上げたいという思いがあります。

私は、ひとつに女性の働く環境が整っていないのも要因だと思うんです。日本のビジネスは男性が支えている現実がありますから、女性活躍っていっても、女性だけが頑張るのではなく、男性の応援がとっても必要なのです。仕事も家庭も。上司が本気で女性の活躍を応援している企業は、女性がイキイキと働き、家でも旦那様に協力していただきながらの子育てできると、イライラがなくなります。

活躍している女性は必ずといっていい程、応援してくれる上司や家族があります。
多くの女性活躍の場を創っていくことが、私の仕事だと思っています。






<インタビュー情報>

アイキャンディ株式会社
代表取締役 福森 加苗
会社ホームページ https://eye-candy.co.jp/

この記事を読まれた方が他に読んでいる記事