歳を重ねても変わらない笑顔で一日を過ごしていただくために

株式会社ダレタメ
代表取締役 中島 拓紀


はじめに、株式会社ダレタメについて教えてください

株式会社ダレタメは埼玉県の幸手市と春日部市、杉戸町の3箇所で地域密着型のデイサービスを提供する介護サービス事業所です。ダレタメが大切にしているのは、利用者の方々に喜んでいただき、楽しく充実した一日を過ごしていただくこと。「もし自分の両親がデイサービスを利用するとしたら、どんな施設なら通いたいと思うか」が基準になっています。

また、デイサービス以外にも、介護保険では対応することができない病院への付き添いや家事のお手伝いなどを「有償福祉サービス ダレタメ」として提供しています。利用者の方々のお困りごとには介護保険では対応できないこともたくさんあって、そういった多種多様なお困りごとの支援をしたいと考えて始めたサービスの名称が「ダレタメ」だったんです。

「ダレタメ」には、「笑顔でいて欲しい『誰か』のためになりたい」という想いを込めています。ウチで取り扱う事業は、デイサービスも有償福祉サービスも全て「誰かを笑顔にするため」にやる事業にしようと考え、社名も含めて「ダレタメ」で統一することに。 

「一回でいいから善光寺に行ってみたい」とおっしゃられていた利用者の方に付き添って、一緒に善光寺まで足を運んだこともありましたね。介護保険外のサービスはボランティアのような感覚で始めたので売上げとしては全然でしたが、利用者の方々から感謝していただけることが多くあって、本当に様々な経験をさせていただきました。



介護事業に携わられるようになったキッカケを教えてください

もともと父が有料老人ホームを運営しており、母がその施設の入居者に介護サービスを提供するデイサービス事業所を運営していたんです。ただ、子どもの頃は両親の後を継いで介護の仕事をしたいという気持ちは全くありませんでした。

というのも、父の事業はずっと順風満帆だったわけではなく、むしろ浮き沈みが非常に激しかったんですね。そのせいもあって家族の生活は決して安定したものではなく、一時期、私も若干グレていた時期がありました(笑)。親に面倒を見てもらうのではなく早く自立した生活がしたいとの思いから、高校も入学して早々に辞めてしまいました。

16歳で高校を辞めて最初はとび職の仕事に就き、1年半ほど住み込みで働いた後、18歳になったのをキッカケに東京に出て飲食店で働き始めることに。思い立ったら即行動に移す性分なので、東京で働くことを決めた当日に身支度を整えて、翌日の朝にはバッグ一つだけ持って家を出ていました。

その飲食店では2年間ほどお世話になったのですが、本当に多くのことを教わりましたね。何度となく大きな失敗もして痛い目にもたくさん合いましたが、周りの諸先輩方から人生を楽しむことの大切さを教えていただきました。

東京に出て2年ほど経ったある日、母親から急に「仕事を手伝ってほしい」と連絡が入ったんです。理由を聞くと「経営のことで父と揉めてグループ全体の運営が立ち行かなくなっているので助けてほしい」と。父と母のケンカが原因で両親の手掛けてきた事業がダメになってしまうのは悲しすぎますよね。困っている両親の手助けになればとの思いで、地元に戻って介護の世界に入ることを決めました。


それまで経験のない介護の仕事で苦労されたこともあったのでは?

地元に戻ってからは母が運営する事業所でデイサービスの管理者として働き始めました。デイサービスの管理者は特別な資格がない人でもできるんです。それでも介護に対する知識も経験もない20歳の若造がいきなり管理者に選任されたわけですから、正直とまどいの気持ちしかありませんでした。

入社して1週間ほど経ったある日、大きな事件が起こります。食事をしていた利用者の方が私の目の前でソーメンを喉に詰まらせてしまったんです。そんな状況に直面したことがなかった私はどうしたらいいか分からず、パニックになってしまって救急車を呼ぶくらいしかできませんでした。

搬送先の病院でも頭が真っ白で、状況を説明することもできず、担当してくださったドクターに「何も分からないような素人が介護の管理者なんか名乗るな!」と厳しい言葉をかけられました。本当にそのドクターの言う通りで、何も言い返せないことがただ悔しくて……。利用者の命を預かる仕事をしていることの責任を思い知らされた瞬間でした。

それからですね、介護の仕事に真剣に取り組むようになったのは。資格を取得するための勉強はもちろんのこと、教科書で学ぶだけでなく積極的に現場に入って、介護士さんや看護師さんから実技を学ばせていただきました。



真剣に介護に取り組むようになられてから、どのような点が変わりましたか?

一から介護の基本理念を学び直したことで、自分なりに実現したい介護の在り方について考えるようになりました。社会的に弱者に見られがちな高齢者や障害者の方々に対して、偏見の目で見るのではなく、健常者と同じように接して普通に生活することができるように支援することが介護の基本なんですね。

介護事業の中でもデイサービスは特にサービス業としての色が強いと思っています。利用者の方々を「おじいちゃん、おばあちゃん」として扱うのではなく、飲食店に来たお客様におもてなしをするように接することを心掛けてきました。

だからサービスや設備のクオリティにもこだわりたかった。お年寄りをバカにしたようなチープなモノは提供したくなかったんです。70歳、80歳まで生きてこられた方々が様々な苦労を乗り越えてこられたことを思うと、それだけでリスペクトできますよね。

昔、大工をされていた利用者の方には日曜大工で棚を作っていただいたり、普通のデイサービスなら危ないからといった理由でやらせないようなことも積極的に取り入れてきました。利用者の方が好きなこと・やりたいこと・挑戦したいことを奪いたくなかったんです。そういうことをやっている方が、イキイキとしてカッコイイじゃないですか。


独立して株式会社ダレタメを設立されるまでの経緯を教えてください

本気で介護の仕事に打ち込むようになってから、デイサービス事業所の経営者を務めていた母親に対して物足りなさを感じるようになっていきました。母は保守的な性格で、当時の事業所を維持して守っていければいいという考え方だったので、常識に縛られないで新しいことに挑戦したいと考えていた私とは根本的に合わなくなってしまったんです。

私があまりに「経営者なんだから。社長なんだから」と母に不平不満をぶつけたことで、「じゃあ、あなたが社長をやってみなさい」と言われたことがデイサービス事業所を引き継ぐキッカケになりました。私が22歳の頃、2015年のことです。

母から事業所を引き継いで自分なりに事業を展開していこうと思うと、今度はグループで有料老人ホームを運営していた父親と方針についてぶつかるようになります。別法人ながらグループ内で相談をしなければならないことも多く、父の考え方に賛同できなくて反発することもよくありました。

そんな状態を半年ほど続けた後、父から「自分のやりたいようにしたいなら独立してやってみればいい」と切り出されたんです。当然まだ23歳でしたし、経営者としてのノウハウや自信があったわけではありませんが、父からの言葉に対し「やってやるよ!」という反骨精神だけで独立することを決意しました。



独立してからどのような課題に直面されましたか?

2016年、自分で店舗を見つけて内装のレイアウトも手掛けた幸手のデイサービス事業所を譲り受けてのスタートでした。デイサービスは病院や入居施設と併設されていることが多く、単体で運営するのは結構珍しいんですね。デイサービス単体で勝負するためには、何かしら特色を出さなければならないと考えました。

地域を徹底的にリサーチしたところ周りには大規模な施設が多かったので、小規模ながら小回りが利くデイサービスセンターにしたいと思うように。規模も組織も大きな事業所では融通が利かないところもあるので、大手ができないような細やかなサービスを何でもやろうと思ったんです。

最初はゼロからのスタートだったので本当に不安でしたが、独立した以上、父が運営する有料老人ホームには頼りたくなかったので、自分の力で利用者を獲得するため営業に奔走しました。損益分岐点を超えるまではものすごく大変で、家に帰っても眠れない日々が続き、毎日のように辛くて泣いていましたね(笑)。今でこそ稼働率が80%を超えるまでになりましたが、全て応援してくださったケアマネジャーさんたちのおかげだと思っています。

幸手のデイサービスセンターが軌道に乗ってから、2018年8月に春日部、2019年1月には杉戸町と立て続けに新しい事業所を二つスタートさせました。実はここまで一気に展開することは考えていなかったのですが、タイミングよく周りから声をかけていただいたことで事業所数を増やすことになったんです。

一気に事業所数が増えたことで悩ましいのは、やはり人の問題ですね。私がまだ若いということもあるのですが、年齢が上のスタッフとの関係性の構築には悩みが絶えません。三つの事業所を運営する組織を引っ張っていくためにも、自分自身、経営者として成長していくことが課題だと思っています。


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今後の展望を教えてください

事業が拡大していく中で、幸手の事業所を立ち上げた当初から私を支えてくれているスタッフには感謝の気持ちしかありません。現場で頑張ってくれているスタッフたちに報いるためにも、ゆくゆくは現場の仕事だけでなくマネジメントの面で上を目指すことができる会社組織にしていきたいと考えています。

私一人が会社の手綱を握っているような組織では上限も見えてしまうので、幹部と呼べる人材を育てて経営チームとしてダレタメを運営していきたいですね。そのためにも、まずは三つの事業所をしっかりと運営していけるメンバーを集めて、盤石な基盤をつくっていきたいと思っているところです。

デイサービスセンターとしては、利用者のADL(Activities of Daily Living)を維持・向上させることによって評価を受けることができるアウトカム評価という仕組みがあるので、しっかりと実績を積み重ねていきながら行政からも地域からも認められるような施設にしていきたいですね。また、デイサービスだけでなく、利用者の方々の状態や要望に応じて、医療から介護までを網羅するような複合的なサービスを提供していきたいと思っています。

今後いわゆる団塊の世代を呼ばれる方々が後期高齢者になっていくにあたって、求められる介護の在り方もどんどん変わっていくと思うんです。今までのやり方が通用しなくなってもおかしくありません。従来の介護業界の常識にとらわれることなく、これまで以上に利用者の方々の個性や想いに向き合ったサービスを徹底していくつもりです。




<インタビュー情報>
株式会社ダレタメ
代表取締役 中島 拓紀
会社ホームページ https://daretame.co.jp/

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